「中小企業の日」制定を機に中小企業関係者に聞く4:栗山忠昭・川上村長

2019/08/26 特集
not set 過疎地における支援策を語り合う斎藤課長補佐(左)と栗山村長

 経済産業省中小企業庁が制定した「中小企業の日」を機にスタートした中小企業の魅力を発信するこの対談シリーズは、テーマを中小企業支援策のあり方に変更してお届けする。今回は、中小企業庁経営支援部小規模企業振興課の斎藤智哉課長補佐が、奈良県川上村の栗山忠昭村長に過疎地における支援策の実情や国に期待する支援策などを聞いた。

斎藤 私は小規模企業振興課で従業員0人から20人程度の小さな事業者が成長するように支援しています。地域にいらっしゃる事業者の事業継続が地域の持続につながると思って支援していますが、川上村では、どのような支援策を展開していらっしゃいますか。

栗山 2016年7月のことですが、村で唯一のガソリンスタンドが、経営者の高齢化と後継者の不在という理由で廃業を決意したと聞きました。村としてエネルギー供給はもちろん、防災の拠点でもあるガソリンスタンドをなくす訳にはいかないと決意し、経営方法などの議論を重ね、17年4月に奈良県初の公設民営で再オープンさせました。その経営主体が、かわかみらいふです。

斎藤 かわかみらいふとは、どのような団体でしょうか。

栗山 16年8月に設立された、住民自らが地域を支える活動を展開している一般社団法人です。村民・行政はもちろん、村外の民間企業や金融機関なども加わった新しい形の地域支援組織と言えます。市民生活協同組合ならコープ商品の宅配や地元スーパーの吉野ストアと提携した移動スーパーなども運営しています。川上村のような山間へき地の過疎地域の企業規模はとても小さく、家族経営規模の事業者がほとんどです。村の企業支援策と村民の生活支援策は等しいのが実情です。高齢者が多いことからも、日常生活に安心・安全を提供することが私たちの役割です。

斎藤 かわかみらいふの活動によって、移住者が増えているという話もお聞きしたことがあります。

栗山 設備が充実した安価な村営住宅や教育の充実という、移住の魅力に加えて、かわかみらいふの移動スーパー販売員などの職も一緒に紹介する移住促進策を展開しています。「職」と「住」の不安を同時に解消することで移住できた人たちが、村民の暮らしを支援する仕組みを構築したのです。山間部ならでは大自然にも惹かれた子育て世代の移住が増えています。国立社会保障・人口問題研究所が示した2045年の川上村の人口が270人に減少するという推計とは、この3年ぐらいで状況が変わってきています。

斎藤 中小企業庁では、今年から7月20日を「中小企業の日」と定めて、個人事業主、小規模事業者、中小企業の地域における役割や様々な支援策を知っていただこうとPRしています。国には、どのような支援策を期待していらっしゃいますか。

栗山 財源はもとより、必要なのは人材(人財)です。企業支援アドバイザーは積極的に活用しています。私たちの地域では、残念ながら知恵・ノウハウ不足が否めません。積極的に勉強会や情報提供の場を様々な形で設けています。私たちのような山間へき地の事業者が元気にならないと、日本の地力は戻ってこないと思っています。私たちも産業支援策には注力していますが、中小企業庁の小規模事業者支援策は重要です。

斎藤 私たちの支援策をもっと知っていただくことも必要だと思っています。当課が全国各地の商工会や商工会議所と連携して、小規模事業者の販路開拓を支援する50万円の補助金も、もっと活用いただくよう普及していかないとと思っています。

栗山 事業者・商工会・行政が知恵を出し合い、いかに有効にこのような補助制度を利用するか。費用対効果もしっかりと求めていきたいと思っています。

斎藤 今年5月には小規模事業者支援法も改正させていただき、今回の法律改正で、商工会・商工会議所などの支援機関と地方自治体との連携を規定させていただきました。川上村のような基礎自治体とも連携しながら、小規模事業者をより一体的に支援する体制をつくっていきたいと思っています。支援策が、地方の小規模事業者にも届くようにこれからも努力していきます。

中小企業ニュース編集部

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