存在意義・魅力を発信:「中小企業の日」で対談

2019/07/19 特集
not set 「中小企業の日」への想いを語る茂木氏(左)と立石氏(右)

 経済産業省中小企業庁は今年、中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力を発信するため、中小企業基本法の公布・施行日である7月20日を「中小企業の日」、7月の1か月間を「中小企業魅力発信月間」と制定した。そこで、中小・小規模企業の事業承継・再生コンサルタント会社、アテーナソリューション(大阪市中央区)を経営する立石裕明代表取締役と、中小企業庁長官官房総務課の茂木高志総括課長補佐に、その狙いや意義、将来展望などについて話し合ってもらった。

茂木 「中小企業の日」と「月間」を制定した理由は、日本経済の屋台骨である全国358万社の中小・小規模企業の魅力が十分に伝わっていないという問題意識があったからです。各方面から強い要望もありました。立石さんは中小企業の経営者でもあるわけですが、中小・小規模企業の魅力についてどうお考えですか。

立石 まず中小企業・小規模事業者の最大の魅力は「伸びしろ」が一杯あるという点です。誤解を恐れずに言えば、これまでほとんどの方があまりちゃんとやっていなかった。2014年に小規模企業振興基本法ができて以来、例えば持続化補助金、よろず支援拠点、商工会・商工会議所による伴走型支援などさまざまな支援が行われました。その結果、業績が伸びたということが明らかになったのです。例えば暗い道の看板にライトをつけたら売り上げが伸びたとか、きちんと毎日伝票つけたら利益が伸びたとか、非常に初歩的なことかもしれません。しかし、やっていなかった経営者がほんの少しやるだけで、日本のGDPが600兆円を超える大きな要因となる可能性が実証されたと考えています。

茂木 中小企業には大きなポテンシャルがあり、実際に動き出している。「中小企業の日」をきっかけに、こうして取り組む姿を見ていただき、その魅力が伝わり、また更に真の力を発揮していくという循環を期待しています。

立石 もう一つ、いまは働き方改革を含めて世の中の社会常識が大きく変わろうとしています。自己実現という言葉のもとに自分の生き方を問うていかなければならない時代になり、自らの手で自ら立って自己実現していく中小企業・小規模事業者はまさに担い手となります。副業を考えるべきだという議論も始まりましたが、そうなれば小規模企業から始まる。また大企業だけでは地方経済が成り立たないことからも、中小企業・小規模事業者に期待が集まるわけです。

茂木 自己実現できる場としての中小企業の意義・魅力を伝えたいですね。多くの若者も「自己実現したい」と思っている。ところが就職を考える際、第一に中小企業という発想になかなかならない。「自己実現が一番できるのが中小企業」と訴えたい。

立石 これは統計でも出ていることですが、大企業に就職した人はほとんどスピンアウトしない。起業した人の大半は中小企業で働いていた人です。給与は高くないかもしれないが、歯車の一つではなく、あらゆることをやって自分のスキルを磨いた方々が起業する。こういう方が中小企業に多い。

茂木 組織の中で自己実現することも重要ですが、経営者というリーダーになって自己実現を積み重ねてきたことが、日本を発展させてきたと感じます。中小企業の魅力発信は同時に経営者の魅力発信だと思いますが、いかがですか。

立石 経営って、ビジネスがうまくいくこと以上に、生きがいとしてこんなに面白いものがあるのだろうかって思うんですね。醍醐味以外の何者でもありません。それを一番やりやすい環境が中小企業・小規模事業者にあります。同時にその経営者は地域社会と密接にかかわっています。地域のお祭りもPTAも消防団も彼らは皆担っています。地域社会に根ざして地域の中で生きていく。これこそ社会貢献というべきでしょう。

茂木 魅力発信の点で中小企業庁に何を期待されますか。

立石 中小企業庁がやる以上、(弱者救済という)社会政策ではなく、あくまでも経済政策であるという観点を絶対にずらさないことです。中小企業・小規模事業者支援は日本経済をより強固にしていくための政策であり、大きなやりがいのある仕事であるという意識をまずもっていただきたいです。

茂木 その点は本当に重要です。エネルギーも発想も勇気も胆力もある人たちがこぞって日本を変える中小企業の経営者を目指していく社会を作りたい。最後に全国の中小・小規模経営者にメッセージをお願いします。

立石 中小企業・小規模事業者が大事だということを、ようやく国を挙げて認めてくれました。ただその経営者にもお願いしなければならないことがあります。国は最大限の支援をしています。しかし過去6年間で1000回以上の講演、研修や企業訪問で分かったことは、この情報を自分で動いて取った人はその果実を得ている一方、自分で取りにいかず「知らなかった」と話す経営者も多いことです。弱者救済の社会政策ではない以上、自分で情報を取りにいって、自ら動いてほしいです。そうすれば風景が変わります。

茂木 ありがとうございました。

中小企業ニュース編集部

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