【特集】「クローズアップ・話題企業」電力損出少なく低コストのパワー半導体開発:FLOSFIA

2019/03/18 特集
この記事の内容 ・中小機構の「Japan Venture Awards2019」で経済産業大臣賞受賞
・京都大学発ベンチャー、コランダム構造の「酸化ガリウム」を用いた半導体
・家電やデジタル機器から太陽光発電装置まで全ての電力変換がコンパクトに
JVA人羅氏
実証実験用装置と

 中小機構が2000年から実施しているベンチャー企業経営者の表彰事業「Japan Venture Awards(JVA)」。2月5日に開催されたJVA2019で、大賞にあたる経済産業大臣賞をFLOSFIAの人羅俊実氏(43)が受賞した。同社は京都大学発のベンチャー企業で、同大で生まれた「酸化ガリウム」を用いて、電力損失が少なく低コストのパワー半導体を開発している。パソコンや太陽光発電装置などの電力変換をコンパクトにすることにもつながり社会的影響は大きい。人羅氏に経緯や将来展望などを聞いた。

――御社設立の経緯を教えてください

 「設立は2011年3月。当初は海水を淡水化する技術開発をする会社で社名はROCA(ろ過)でしたが、12年に私が代表に就任し、酸化ガリウムを使った半導体開発に仕切り直しました。13年4月に京大桂ベンチジャープラザに本拠を移し、14年7月に社名を「FLOSFIA」に変えました。流れる(flow)と知恵・叡智(sophia)の造語で、様々な知恵が流れ込み、それを磨き上げて社会に流し戻す会社でありたいという意味です」
 
――酸化ガリウムとは何でしょう
 
 「酸素とガリウム(Ga)の化合物です。ガリウムは青色発光ダイオードなどに使われているポピュラーな材料ですが、酸素との化合物、とくにコランダムという自然界に存在しない特殊な構造をした膜をつくることに京大が世界で初めて成功したことからスタートしました。作り方は、ガリウムの原料を特殊な溶媒に溶かし、霧(ミスト)状にして基板に流し込み、霧が基板に降着する寸前に加熱して溶媒を乾燥(ドライ)させ、化学反応を引き起こし、基板上に1ミリの100分の1程度の数10ミクロンの酸化ガリウムの薄膜を合成します。知的財産にはとても力を入れており、我々の製法をミストドライ法と名づけ、国内外で300件超の関連特許を出願済みです。液体を原材料として使えるのでプロセスの自由度が高く、反応温度も高くなりません。低コストでできるのも特長です」

――そこから半導体デバイス(電子部品)をつくるのですね

 「我々が作るのは電気器具に安定した電源を供給するのに欠かせない大きな電流を扱うことができるパワー半導体です。3工程あって、まず材料になる酸化ガリウムをつくり、次に微細加工して電子部品機能を加え、最後に全体の構造を作りこみます。試作品は損失低減の目安となる『特性オン抵抗』の値で世界トップデータを出しました」

企業概要&社長プロフィール

FLOSFIA
本社京都市西京区御陵大原1-29 マイコムビル
電話075-963-5202
設立2011年3月
資本金準備金等約22億6000万円(19年1月現在)
従業員数44人
業務内容酸化ガリウム系パワーデバイスの研究・製造・販売、各種金属酸化膜等の受託成膜

社長プロフィール
人羅 俊実氏(ひとら・としみ)
2000年京大工卒。有料老人ホームで就業した後、半導体領域の連続起業家として研究開発・品質管理・営業・財務経理などを幅広く経験。11年ROCAを設立し12年社長。14年社名をFLOSFIAに変更。息抜きは7歳と9歳の子供と遊ぶこと。兵庫県出身。

中小企業ニュース編集部

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