【特集】「新価値創造企業の横顔」超精密加工技術を核に、環境変化に応じ柔軟に事業転換:小松精機工作所

2019/03/06 特集
この記事の内容 ・時計から情報機器、自動車へと転換
・下請けから自立、世界シェア3割に
・次代を見据え、次世代材料の開発も
小松精機 ノズル部品を手にする小松社長(諏訪市の本社事務所で)

 「新価値創造展」の出展企業の中から選ぶ「新価値創造賞」を2018年まで3年連続で受賞した企業が長野県諏訪市にある。時計部品や自動車エンジンの電子制御燃料噴射装置向けノズル部品などを手がける小松精機工作所である。

 展示の目玉は「3次元構造部品のマイクロ精度製造技術」(金属MEMS=微小電気機械システム)。板厚0・01ミリメートルのステンレス金属箔に、複数の異形穴を1回のプレス加工で打抜き、打ち抜いた金属箔を低温で複数枚拡散接合し、マイクロポンプ用部品とする製造技術だ。

 従来は半導体プロセスでしか製造できなかったMEMS部品を金属で可能にし、大幅なコスト削減を実現。シリコン製品の3倍の吐出量を持ち、点滴ユニットなど医療機器分野への応用を視野に入れる。自由曲面へのレーザー加工技術や、血管治療用治具にも注力するなど、絶え間ない新分野への挑戦が評価された。

 小松滋社長の祖父が同社を創業したのは1953年(昭和28年)。現在のセイコーエプソンの協力会社として腕時計の組み立てからスタートし、表面処理やプレス加工へと徐々に製造領域を拡大した。

 ところが70年代後半に転機が訪れる。時計市場の成熟化に伴い、エプソンから自立を促された。そこで時計で培った超精密加工技術を応用し、ハードディスク駆動装置(HDD)の読み取り部品を製作。情報機器分野に81年に進出した。

 その際、創業者は「長野県外の仕事を取りに行け」と独自の営業を展開した。その結果、パナソニック、ソニー、NEC、富士通など有力電機メーカーから受注を勝ち取った。「祖父は地元で競争してもコストが厳しくなるだけと考えた」と小松社長は明かす。

 ただ現在、情報機器分野の売り上げはほとんどない。90年代に電機各社が海外生産にシフトしたためだ。

企業データ

小松精機工作所
代表取締役社長小松滋氏
本社長野県諏訪市大字四賀桑原942-2
電話0266-52-6100
設立1953年6月
従業員数260人(男性175人・女性85人)
売上高78億円(2017年度)

中小企業ニュース編集部

関連記事

最新ニュース/記事一覧

back to top