柏の葉を医療機器開発の拠点に:国立がん研、中小機構などがシンポ

2018/12/05 イベント
医療機器開発でシンポ:中小機構など 3次元画像による手術支援を説明する谷口氏

 国立がん研究センター東病院、中小機構関東本部、ベンチャー支援組織のTXアントレプレナーパートナーズ(TEP)は12月4日、千葉県柏市の柏の葉カンファレンスホールで「第2回メディカルデバイスイノベーションin柏の葉」を開いた。同病院や東京大学など最先端の研究機関が集積する「柏の葉地区」で医療機器イノベーションのエコシステム構築を目指す狙い。各界の第一人者4人が講演し、起業予定を含むベンチャー13社が自社の技術・事業を紹介した。

 冒頭、大津敦国立がん研究センター東病院長が「柏の葉にシリコンバレーのような医療機器エコシステムが生まれることを期待している」とあいさつ。占部治中小機構関東本部長は「ベンチャー企業がより速く成長するような仕組みをつくりたい」と述べた。

 講演では、TEPの國土晋吾代表理事が「柏の葉発のベンチャー支援エコシステムの構築」と題し、街がコンパクトで各種機関が集まる同地区は実証実験を行うのに最適と解説した。東病院が産学官共同で医療機器を開発する施設「NEXT」を開設したのに続き、産業技術総合研究所も同様の連携施設を近く開設することを紹介し、「ぜひこうした動きに参加し、盛り上げてほしい」と呼びかけた。

 シリコンバレーで医療機器ベンチャーへの投資実績を数多く持つMedVenture Partners(東京都千代田区)の大石創社長は「シリコンバレーの医療機器エコシステムと日本の現状」をテーマに講演。米国で起業の“出口”は9割がM&A(買収・合併)であり、成功した起業家が別のベンチャーを起業したり投資家になってベンチャーを育成したりする好循環を生み出すと指摘。「成功事例があって初めてエコシステムができる」と強調した。

 このほか日本医療機器開発機構の野口昌克事業開発シニアディレクターが「日本発医療機器イノベーションの可能性」、日本医療開発研究機構の高見牧人産学連携部長が「医療機器開発をめぐる動向とAMEDの取組」、同病院NEXT医療機器開発センターの矢野友規内視鏡機器開発室室長が「NEXTからの内視鏡機器・治療の開発」をテーマに話した。

 続いて、医療機器ベンチャーによる3分間のプレゼンテーションを実施。Holoeyes(東京都港区)は、患者個別のCTスキャンのデータから患者ごとの仮想現実(VR)アプリを提供する。谷口直嗣CEO(最高経営責任者)は「これを使うことで、複雑な3次元の解剖を直感的に理解でき、手術の経験をデジタル化して共有化できる」とアピールした。

 がん患者の尿の匂いを好んで近づき、健常者の尿は嫌って離れるという「線虫」の習性を応用して、がんの早期発見検査機器を開発しているのがHIROTSUバイオサイエンス(東京都港区)。尿だけでがんの有無を判別できる手軽さ、安価な点が特徴で、東病院との連携も進めている。2020年の実用化を目指しているという。

中小企業ニュース編集部

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