成功への針路示す:中小企業診断協会「経営診断シンポジウム」

2018/11/08 イベント
中小企業経営診断シンポジウム 調査結果を報告する柿原氏

 中小企業診断協会は11月7日、東京都文京区の東京ガーデンパレスで「挑戦を加速する経営診断―成功への針路をナビゲート、中小企業診断士―」をテーマに平成30年度中小企業経営診断シンポジウムを開催した。中小機構、中小企業庁などの後援。全国から集結した中小企業診断士による調査研究報告や論文発表などで構成した同シンポには多数の中小企業経営者、支援機関の職員らが来場した。

 東京都中小企業診断士協会の吉村正平氏は「ものづくり企業連携の事業化のための支援マニュアルの調査研究」の成果として、プログラムコーディネーターという中小企業診断士の新たな役割を提案した。

 自力で新製品開発が困難な中小メーカー同士の共同開発案件は全国でもいくつかあるが、継続して成果を収めているケースは少ないという。共同開発事業の成長と継続には学術関係者、行政・金融機関の参画が必要になるとして、中小企業診断士は地域活性化のためにも、これらのプレーヤーを巻き込んで企画段階から販売まで導く「プログラムコーディネーター」として活動すべきと主張した。主要業務には企業連携グループに参加すべき官学金ら異業種メンバーの確保や顧客開拓のためのマーケティング活動などを挙げ、実現への協力を求めた。

 兵庫県中小企業診断士協会の柿原泰宏氏は「観光サービス業の『おもてなし力』向上に関する調査・研究」の結果を報告した。サービスを可視化するために経済産業省が平成28年度に創設した「おもてなし規格認証制度」を発展させる形で作り変えた独自のチェックリストに基づき、加西市内の鉄道事業者、飲食業者らを「接客対応」「売り場づくり」「環境・清掃」などの項目で評価。総平均点で表す全体評価で合格ラインの3点を下回ったため、当たり前のことを人が真似できないほどやる「凡事徹底」などで対策すべきと提案した。

 対策を聞いた事業者は「相談相手がいない中、いつも悩んでいたことを解決するヒントになった」「まったく気づいていなかったことを指摘されてよかった」などの感想を寄せたという。普段から外国人観光客が来ない土地柄であることから、中期的な課題にインバウンド対応力の強化を挙げたとした。

 診断士の報告に先立ち、計測機器メーカータニタの谷田千里代表取締役が 「日本を健康にするタニタのチャレンジ」と題して基調講演した。谷田氏は社長就任当時、業績を維持して次代に渡せば社長として及第点だろうとしか考えていなかったが、高齢化の進展に伴う医療費の増加を示す厚生労働省の資料から将来の法人税負担増を予見し、事業拡大を決意したという。

 医療費の削減と健康増進には若い頃からの生活習慣病予防に向けた取り組みが不可欠と思い立ったことなどが、近年のレシピ本や社員食堂のメニューを提供する「タニタ食堂」、企業・自治体職員の健康増進を支援するプログラムなど新たなサービス開発につながっていると説明した。

 新社長となった自身の責任と判断で事業を拡大する姿勢を強く表すためにも、父である先代が通勤で常用していたオフィスカー(移動型事務所)を廃止し、上司は部下より先に帰らないことをルール化するなど従業員に付いてこさせる努力は怠らなかったと語った。

中小企業ニュース編集部

関連記事

最新ニュース/記事一覧

back to top