【特集】「経済の新陳代謝で生産性向上を」茂木友三郎・日本生産性本部会長:中小企業へのメッセージ

2018/11/06 特集
茂木さん
茂木友三郎・日本生産性本部会長

 1957年に米国で販売会社を設立し、いまや海外で「キッコーマン」といえば醤油の代名詞。その立役者が茂木友三郎キッコーマン名誉会長だ。日本生産性本部の会長も務める同氏に自身の経験や知見を基に日本の中小企業施策や生産性向上策、起業のポイントなどを縦横に語ってもらった。

 日本の中小企業は経済に占める割合が大きいし雇用もたくさん抱えている。小さいながらも独特の技術を持つ企業もあり、経済の発展にも貢献している。今後も健全な育成が重要だ。
 
 ただ、育成のやり方が問題だ。中小企業を助ける政府の機関はいろいろあるが、税金を一律に安くするなどの相対的な支援ではなく、個別企業の実情に合わせた支援が必要ではないか。これだけ世の中が複雑になってくると、一律の産業政策は、経済にとってむしろマイナスになる恐れがある。

きめ細かい支援を

 シンガポールなどでは子供たちの能力と個性などに合わせてカスタマイズされた教育が行われていると聞いている。子供の得意課目がそれぞれ違うように中小企業にも個性があり、一律に支援しても効果はあがらない。
 
 いま業績の良い企業でも、将来はわからないところとずっと良さそうなところがある。逆に業績が低迷している企業でも、将来伸びるところともっと悪くなるところがある。さらに将来性が見込めず助けることが難しい企業もある。それらを分別して伸ばすべきは必要ならお金も使って支援する、存続が難しい場合は廃業しやすいよう指導していく、新しい分野を切り開くベンチャー企業には手助けをする、というように、温かさと厳しさの緩急をつけてきめ細かい支援をすべきだ。

 日本生産性本部は優れたサービスを創り届けるしくみを表彰する「日本サービス大賞」を実施している。今年は神奈川県の旅館・陣屋のサービスが総務大臣賞を受賞した。生産性向上は効率を上げることだと思われがちだが、生産性とは付加価値を労働投入で割ったもので、分子である付加価値を高めることがより重要だ。陣屋はITを駆使するなどの工夫をして平均客単価を上げ、高級旅館として生まれ変わった。付加価値を高めて生産性を上げた中小企業の代表例だろう。

 生産性向上は中小企業政策の根本だ。全体の生産性を上げるには経済全体の新陳代謝が必要だろう。役割を終えた事業・企業や生産性の低いところには市場から退出してもらい、生産性の高い新しい事業や分野で起業してもらう。転廃業しやすい環境整備として、雇用のセーフティネット拡充や流動性を促す労働市場の整備、また一度市場から退出した企業の経営者や社員が再チャレンジできるような資本市場の整備が必要となる。

略歴

茂木友三郎(もぎ・ゆうざぶろう)氏
1958年慶大法卒、野田醤油(現・キッコーマン)入社。61年米コロンビア大経営大学院修了。95年社長CEO、2004年会長CEO、11年から取締役名誉会長・取締役会議長。経済同友会副代表幹事、日本経済団体連合会常任理事などを歴任し14年6月、日本生産性本部会長に就任。千葉県生まれ。83歳。

中小企業ニュース編集部

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