【特集】「生産性を考える」ITで先生の負担軽減:イシド(千葉県白井市)

2018/09/19 特集

事務はクラウドで本部が管理

 同社の特徴は生徒の理解力に応じた個別指導で能力を開発する「いしど式」にあるが、指導に当たるべき先生は事務処理に追われていた。沼田氏は、この状況を打開するため14年にクラウド型の生徒管理システムを独自開発。手書きやパソコンの表計算ソフトで行っていた生徒の出欠や珠算特有の段級位などに関する作業をすべてクラウドで一元管理し、運営事務を効率化した。「全国で200を超える加盟教室の事務関係数値を見える化したことにより、本部がリアルタイムで状況を確認し、品質管理と顧客満足の向上につなげられた」と振り返る。

 そろばんと子育ての両方の経験を持つ40~50歳代の主婦を先生として長期的に戦力化するため導入した週30時間勤務の正社員制度も奏功している。パートタイマーにもスキルに応じた時給を設定していたため、配偶者扶養控除枠を超えないように勤務時間を制限する先生が多数いた。高スキルを活かすべきと思った沼田氏は週30時間勤務で社会保険に加入できるように雇用形態を見直し、扶養控除枠を利用するのと比べて不利益のない収入を得られる正社員の仕組みを考案した。

保護者が生徒紹介も

 社会保険加入と収入増を実現し、家事をこなす時間も確保できる試みは、パートタイマーから正社員へのキャリアアップや先生としてのスキル向上を促進。生徒の満足度も上がり、保護者の高評価を得て新たな生徒紹介につながっている。これらの相乗効果で沼田氏が社長に就任した11年からの5年間に生徒は約2000人から、売り上げも2億3000万円からそれぞれ倍増したという。

 同社は海外にも進出している。夫の歯科医療学習に付き添って来日していたグアテマラ人女性が帰国後に開校したケースやポーランドで小学校の元教員が開校したケースなど、同社を通じてそろばんの効果を知った人材の「普及に賭ける熱意に導かれ本部も支援し」海外市場を開拓している。

 縮小を続けるそろばん市場を見据えた事業案も模索。右脳を開発する教具としての機能研究や、認知症の回復力を高めるプログラム開発など複数のプランを検討中だ。

 「身体の健康を増進する研究やビジネスは進んでいるが、脳の健康に関する研究は未知の領域」

 沼田氏は、そろばんの可能性追求に余念がない。

企業概要

イシド
代表取締役沼田紀代美氏
本社千葉県白井市堀込1-1-12
電話047-492-2388
設立1973年3月
資本金1500万円
従業員数105人
事業概要そろばん教育事業(直営教室「石戸珠算学園」運営・加盟教室への教育ノウハウ提供・「インターネットそろばん学校」販売など)

中小企業ニュース編集部

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