【特集】「生産性を考える」配車情報もとに業務改善:手塚運輸

2018/09/14 特集

車両は工場で自作

 広告・イベント用車両の製作は、越谷事業所(埼玉県越谷市)に設けた自社工場で行う。顧客のさまざまなニーズに低コストで応えるためで、これまでに200台近くを製作した。

 手塚社長が新規事業と並んで力を入れているのが、IT化による生産性向上だ。大学卒業後に3年間の国会議員秘書を経て入社した当時、「ドンブリ勘定の経営に加え、配車担当者の仕事が忙しすぎるのに驚いた」と振り返る。

 配車担当者はまず、受注案件に対して、ドライバーや車両の稼動・空き情報を確認して割り振る「配車指示書」を作成する。また顧客向けに「車番連絡表」、協力会社向けに「傭車指示書」、監督官庁向けに「点呼記録簿」を作成し、さらには経理部門を通じて「請求書」の作成・発行まで担う。配車マンは1日に3回も4回も同じデータを手書きし、転記し、つき合わせる作業に追われていた。

 これを解決するため、荷主や荷物の種類、どこからどこまで運ぶのかといったデータを1度入力すれば、自動的に各指示書や請求書が作成できるシステムを考案。2011年に経済産業省の新連携事業に認定され、翌年には初期バージョンを完成させた。

毎年1億円増収

 最大の特徴は、IT知識のない人でも直感的に操作できる点だ。パソコンやタブレットを使い、どこからでも配車状況をリアルタイムに共有。急な変更やトラブルにも迅速に対応できる。ドライバーへの指示書も簡単に出力・伝達でき、配車漏れを防げる。請求書も自動発行し、請求漏れもない。給与計算や売り上げ管理も簡単になった。

 「一連の作業が半分の人数で行え、その分の時間を営業活動に割けるようになった」と手塚社長。人を増やさずに毎年1億円ずつ売上高が増えたという。

 システムを他の運送業者に外販する専門会社も設立した。月額使用料は1万~3万円と格安で、すでに50社弱が導入。当面は100社の導入を目標に、配車システムの〝業界標準〟化を目指している。

 ただ懸念もある。運送業界全体の「人手不足」と「高齢化」だ。主力事業の海上コンテナ輸送に携わるドライバーは40代以上が大半で、「このままでは10~20年後には事業が成り立たなくなる」と話す。

 「選ばれる業界にしないと生き残れない」と語る手塚社長は、ドライバーの価値を上げるため、社員の待遇改善に着手した。5年後の目標は「ドライバー全員が年収500万円以上を達成すること」である。

企業概要

手塚運輸
代表取締役手塚嘉明氏
本社所在地埼玉県川口市栄町2-12-9
電話048-251-3929

創業1914年
創立1953年5月
社員数71人(うちドライバー44人)
業務内容運送業、広告業など

中小企業ニュース編集部

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