心構えや注意点学ぶ:中小機構中部「航空機産業参入支援セミナー」

2018/09/14 イベント
中小機構中部「航空機産業参入支援セミナー」 経験談を話す近藤社長

 中小機構中部本部は9月13日、名古屋市中村区のミッドランドホールで航空機産業参入支援セミナーを開催した。世界的な市場拡大が見込まれる航空機産業に新規参入を検討している中小企業経営者ら60人超が、先行事例に心構えや注意点などを学んだ。

 機械部品の超精密加工技術を強みとする近藤機械製作所(愛知県蟹江町)の近藤豊代表取締役が「航空機産業への挑戦から生まれた新事業」と題して経験談を披露した。同社はハードディスクドライブのモーターの動きを円滑にする特殊部品の製造で積んだ実績が航空機部品メーカーに評価され、航空機のエンジンが鳥との衝突で故障しないようにする重要部品の複雑形状加工技術で航空機産業に参入したが、08年、リーマンショックに見舞われた。

 設備投資を終え、機体の生産計画に合わせて多くの準備を進めていた矢先のことだった。同社が部品の納品を予定していた航空機の生産計画は立て続けにキャンセル。機体の生産再開まで4年を費やしたことから、設備だけでなく参入に不可欠な航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムJISQ9100の認証取得費など多額の初期投資を回収できず内部留保も底を突く窮状に追い込まれた。

 しかし、当時専務取締役だった近藤氏が趣味で参加した自転車レース中にハブ(車輪中心部の回転体)が故障したことをきっかけに状況は一変する。同氏は市場に出回っているハブの問題点を修正し、さらに航空機に使われている特殊な衝撃吸収構造を搭載したハブを独自開発。オリジナルブランド「GOKISO」を立ち上げた。

 「GOKISO」は既存製品より重いが速く走ることができることなどから一部の自転車マニアを中心に売り上げを伸ばし、経営再建に大きく貢献。精密機械部品と航空機部品の業績も回復し、今では下請け企業から提案開発型企業への転換を目指している。

 航空機産業参入にあたっては「国内大手部品メーカーの下請けになるのが近道かもしれないが、航空機メーカーと直接交渉できるだけの技術力を持つべき。市場は小さくリスクも大きいから先行他社のいる商圏参入も避けるべき」と助言した。

 同氏の講演に先立ち、中小機構の経営支援アドバイザーを務める横井圭一・横井経営技術研究所代表が「航空機事業者への道、経営者の本気度と経営判断」と題して、参入を検討している経営者の必要事項と心構えを説明した。

 熟練技能者の確保およびJISQ9100の認証取得をはじめとする品質保証体制の構築や航空機メーカー特有の複雑な専門用語を読み解く英語力を不可欠としたうえで、企業連携による特殊工程を含む一貫生産体制を構築すべきとした。

 50年前に製造した700機のうち100機が現在も運行しているケースを紹介し、長期にわたる部品供給体制を整備できる安定的な経営基盤構築も促した。「利益や赤字補填が目的なら長続きしない」と述べ、参入には慎重な判断を求めた。

 セミナーは経済産業省中部経済産業局と愛知県の後援。修了後には個別相談会も実施した。

中小企業ニュース編集部

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