【特集】「人材活用と経営若返りを」古賀信行野村ホールディングス会長:中小企業へのメッセージ

2018/08/28 特集
古賀信行氏 古賀信行野村ホールディングス会長

 著名経営者が中小企業にエールを送るインタビュー。今回の登板は野村證券の古賀信行会長だ。人事や企画畑が長く、証券業界のガリバー・野村證券を率いてきた。今年5月末には日本経団連のナンバー2にあたる審議員会議長にも就任。幅広い視野に定評がある。

 かつて企業は大きくなるのが目標だったが、「大きいことはいいことだ」はもう通用しないと思う。大きいからたくさん儲かる、世の中で信任されるという社会の構図が変わってきて、規模の大きさ志向から多様化志向になっている。これから伸びてゆく企業は大きさとは関係ないと思う。

 世の中に必要とされない企業はいくら経営者が力んでも淘汰される。企業は周りが認めないと存在価値がない。中小企業には技術やブランドが確立した面白い企業が多いし、日本の社会にとって有用性が高まるだろうという企業も少なくない。自分たちの存在意義は何だろうと振り返り、自社の特色を打ち出していくことだ。

 企業規模が大きいと経営の舵が切りにくい。どうしようもないまま、ゆっくりと進行する危機に対処せず致命的なダメージを負う「茹でカエル」になることが起こりがちだ。だから中小企業の経営者は会社の規模が大きくないことを負い目に感じる必要は全くない。むしろ強みにすべきだ。

 小さいから経営者の目が行き届く。危機や環境変化に臨機応変に対応できるし、経営方針を浸透させられる。

マイノリティの登用を

 例えば人材活用。イノベーションの時代で一番大切なのは多様な人材を活躍させることだ。女性やシニアなどいわゆるマイノリティ(少数派)をいかに活用するか。大企業でマジョリティを差し置いてマイノリティを使うのは難しいが、中小企業ではやりやすい面がある。女性の活躍推進に注力するとか、外国人にとって働きやすい職場にするなどを目標にしたら大企業より力が出ると思う。

 求人でも人手不足だからと大企業と同じような人物像を求めていたらみんな大企業へ就職してしまう。大企業が受け入れにくいマイノリティに着目して、彼らにこの会社なら働けると確信させることだ。ここに行けば違うと思わせる要素を打ち出せば、有能な人たちは集まってくる。

 人の能力レベルはそんなに変わらない。誰でも場を与えてやれば仕事をする。大事なことは「見てあげる」ことだ。仕事のやり方を見守っている人がいることが大きな励みになる。「成果にはつながらなかったけど、がんばっていたね」ときちんと言い当てられる人が後ろにいたら、人は働く。中小企業は経営トップやトップに近い人が個々の従業員を見ることができる強みがある。

略歴

古賀信行(こが・のぶゆき)氏
1974年東大法卒、野村証券入社。常務、副社長、野村ホールディングス(HD)副社長最高執行責任者を経て、2003年に社長、最高経営責任者。08年会長。11年から現職。14年一般社団法人日本経済団体連合会副会長、18年5月審議員会議長。福岡県出身、68歳。

中小企業ニュース編集部

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