長時間労働の経営リスクと対策学ぶ:東商セミナー

2017/05/17 イベント
not set 安全配慮を強調する齋藤氏

 東京商工会議所は5月16日、東京都千代田区の丸の内二丁目ビルで、経営者向けセミナー「長時間労働が招く経営リスクへの備えとは」を開催した。中小企業の人事労務担当者ら約110人が、講師を務めた三井住友海上火災保険営業推進部法人開発課長で社会保険労務士の齋藤英樹氏による、従業員の長時間労働が経営にもたらす弊害と対策の説明に聞き入った。

 労働時間の長期化による従業員の健康悪化は、生産性の低下だけでなく、労働紛争や訴訟になることもある。近年、多くの労働問題が明らかになり、長時間労働は社会問題化している。

 齋藤氏は、長時間労働で企業が問われる4大責任に①是正勧告、企業名公表、労災認定などの行政責任②安全配慮義務違反による損害賠償請求などの民事責任③36協定との乖離や割増賃金未払いなどの労働基準法違反による刑事責任④企業の信用失墜となる社会的責任――を挙げた。

 行政責任では、厚生労働省が5月10日に労働基準関係法令に違反したとして最近半年間に書類送検した企業を公表した実例を示し、安全配慮義務違反では「報道されていないだけで増えている」と述べ、けがや病気につながらない職場環境整備を促した。

 刑事責任と社会的責任を巡っては「従業員のモチベーション低下や企業のイメージダウンを招き、取引や採用に影響する。簿外のデューデリジェンスで事業承継、M&A案件にも支障を来す」と強調した。

 労務対策には、従業員の時間外労働対策を念頭に置いた時間管理と健康管理の実践を推奨した。始業・終業時刻の確認と記録を基本に、例外的取り扱いとなっている自己申告制についても、適正な運用に関する説明を従業員と管理監督者の双方に求めた。健康管理面では、狭心症、心筋梗塞の有病率や冠動脈疾患による死亡率上昇など睡眠時間の減少との因果関係を例示し、従業員の十分な睡眠時間確保への工夫を促した。

中小企業ニュース編集部

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